宇宙の小話

宇宙の小話


雲を"3次元"で眺める
- 厚みを持った空を漂う造形美 -


3次元の雲

空を漂っている雲には厚みがあります。

高さも様々で飛行機が飛び交う高度10,000mを超えるものもあれば、地面に近い100m程度のものもあります。条件が揃うと地面に接して霧となることもあります。


積乱雲

もっとも雲の厚みを感じるのは夏の暑い時期に発生する「積乱雲」でしょうか。強い太陽光の影響で地面が急激に温められ、湿った上昇気流によってこの雲は発生します。海岸な どで沖合の海の上に成長する雲が想像できますね。

元気に成長する「積乱雲」ですが上昇するにしたがって冷たい空気に冷やされ、水蒸気はやがて液体になり雨となって、今度は地面や海に向かって降り始めます。


高さの違う雲

上下に移動する雲はその厚みを意識できますが、通常私たちが目にする雲は横方向に移動していることがほとんどではないでしょうか。

高い雲は殆ど動かないのに対して低い雲は早く動いています。

これは対象物までの距離により、見た目の速さが違うためです。また、太陽の光の差し具合もその都度変化していきます。


夕焼けの雲

そこで「雲を3次元で見よう」と意識して観察すると面白い変化が起こります。それはちょうど本に描いてある2次元のものが、紙面から飛び出して3次元の世界に広がったような感 じ。

雲が自分の体の前を流れて行き、あたかも自分の手でさわれるような感覚に陥ります。ここまで来たらしめたもの。あとは流れていく雲をじっと見つめるだけで、「立体の雲」が 目の前に次々に現れます。


紫の空に漂う雲

日の出前や日没後の夕暮れ時、雲は別の表情を見せてくれます。地平線の向こうにある太陽の光が雲の底に当たり色彩を帯びていきます。地上から見ていると底の形状は分かりづ らいのですが、下から光が射すとはっきりと映し出されるのです。

立体的な雲が織りなす、自然の造形美。いつもでも眺めていたいところですが、時々刻々状況は変化していきます。貴重な一瞬を見逃さないようにしたいですね。